パーキンソンと便秘、腸内環境の関係性について
パーキンソン病の患者さんで便秘が起こりやすいのは、病気の症状そのものや、治療薬の影響、あるいは自律神経の乱れなどが関わっていると考えられています。
* パーキンソン病の症状として:
パーキンソン病は、脳の「黒質」という部分にあるドーパミンを作る神経細胞が減ってしまう病気です。ドーパミンは体の動きをスムーズにするためにとても重要ですが、実は腸の動きを調整する役割も持っています。そのため、ドーパミンが不足すると、腸の動きが悪くなって便秘になりやすくなるんです。これは、体の震えや動きにくさといった「運動症状」が出るよりも前に、便秘が起こることも少なくありません。
* 治療薬の影響:
パーキンソン病の治療には、ドーパミンの働きを助けるお薬(ドーパミン補充療法など)が使われます。これらの薬の中には、副作用として便秘を引き起こすものがあるため、便秘が悪化する要因となることがあります。
* 自律神経の乱れ:
パーキンソン病は、自律神経のバランスも乱しやすい病気です。自律神経は、内臓の働き(消化や吸収、腸の動きなど)を無意識のうちにコントロールしていますが、このバランスが崩れると、腸の動きが低下して便秘につながることがあります。
腸内環境との関係
最近の研究では、腸内細菌のバランス(腸内フローラ)が、パーキンソン病の発症や進行、そして便秘に影響を与えている可能性が注目されています。
* 腸内細菌の変化:
パーキンソン病の患者さんの腸内細菌を調べると、健康な人と比べて特定の種類の細菌が減っていたり、増えたりしていることが報告されています。例えば、便秘に関連する細菌が増えたり、善玉菌が減ったりすることがあります。
* 腸内細菌が作り出す物質:
腸内細菌は、様々な物質を作り出しています。これらの物質の中には、脳に影響を与えるもの(例えば、神経伝達物質の生成に関わるものや、炎症を引き起こすものなど)があると考えられています。腸内細菌のバランスが崩れることで、これらの物質のバランスが変わり、パーキンソン病の症状や便秘に影響する可能性が指摘されています。
まとめ
パーキンソン病と便秘は、病気の症状、治療薬、自律神経の乱れなど、複数の要因が複雑に絡み合って起こります。そして、最近では腸内環境、つまり腸内細菌のバランスが、この関係性にさらに深く関わっている可能性が示唆されています。
もし便秘でお悩みでしたら、まずはかかりつけの医師や専門医にご相談されることをお勧めします。食事や生活習慣の改善、場合によっては薬物療法など、ご自身に合った方法が見つかるかもしれません。



